事業計画書のポイント7点

事業計画書の書き方のコツ 7選

 

経営管理ビザの申請の際、入管で定めているカテゴリー1と2に該当しない法人規模の場合は、原則として「事業計画書」を提出しないといけません。

 

初めて会社経営する方、特に、外国人の方にとっては、事業計画書って何?どんなことを書けばいいの?日本語で?という感じだと思います。

入管では、まだ事業を開始していない会社がこれから日本で事業を営み、収益をあげて事業が継続できるのかを審査ポイントとしていますので、審査官は事業計画書の内容によって許可・不許可を決めていると言っても過言ではありません。

 

事業計画書に記載する内容としては大まかに言ってしまうと以下のようなものが挙げられます。

どんな事業をするのか、どんなサービスを提供するのか、目的達成を目指した数値計画はどのようなものか、市場分析や集客方法などです。新規設立された会社の今後の事業について説明した資料のため、審査官が理解できるよう分かりやすく説明することが必要です。

 

ここで注意して頂きたいのが、金融機関の融資を受ける際の事業計画書とは違うということです。

 

金融機関の融資を受ける際の事業計画書は主に資金調達を目的にした計画書です。

きちんと返済できるかどうかが重要な審査ポイントになってきますが、外国人が入管に提出する事業計画書とは異なります。外国人に関しては、既に500万円の資本金を用意した状態で日本でビジネスを行うわけですから、資金繰りという点よりは、当該ビジネスを日本で展開した場合に利益を出してスムーズに運営できるかどうかが重要視されます。(在留資格の更新の際にも重要になってきます。)

 

よって、創業融資向けの事業計画書の作り方などのフォーマットを使うことはお勧めできません。主旨が違っており、それを使うと大量の資となることが想定されるため、入管での経営管理ビザの審査に時間を要します。

 

入管の経営管理ビザ用の事業計画書のポイントとしては、できるだけ図表やグラフや商品の写真などを入れて、そこに適度な説明文を加えて作成するのが良いでしょう。審査官がビジュアルでも確認でき、速やかに内容を理解しやすいように仕上げましょう。

よって、A4用紙で10枚前後にまとめるのが一般的です。あまりにもボリュームが多いと審査官に全ての内容を把握してもらうのに時間を要し、審査が長引きます。

 

では、事業計画書には、具体的にどのようなことを書いたらよいのでしょうか。

後述の7つの項目は絶対に書いてもらいたいことがあるのですが、その前に大前提を書かせて頂きます。

 

「要件を満たしていることを証明すること」

まず最も重要なことですが、そもそも経営管理ビザ取得の要件を満たしていることを立証しなければなりません。

資本金要件を満たしているか、許認可ビジネスなのであれば許認可を取得しているか、その他、入管のガイドラインに列挙されている、事務所の確保、2名以上の外国人が共同で事業を経営する場合はそれぞれの外国人ごとに従事する業務内容が明確になっているか、事業の継続性、義務の履行をしているか(税法や労働関係法令や社会保険法令などの法令を遵守しているかなど)などです。

 

そして、最も重要な、事業計画書を作成することです。

具体的には次の7つは必ず書く必要があります。

①経営者のキャリア

②事業概要

③サービス内容の説明

④仕入先や販売予定先の説明

⑤市場動向市場規模の分析

⑥自社の強み

⑦収支シミュレーション

 

①経営者のキャリア

経営管理ビザ取得には申請人の学歴は関係ないとされています。よって、技術・人文知識・国際業務の在留資格(いわゆる「就労ビザ」)取得と違い、大卒とか専門学校卒とかそういった学歴要件はありません。

しかし、申請人が日本でビジネスを行うにあたってのキャリアなどは重要視されます。本国で同様のビジネスを何十年も行ってきた実績があるとか、大学で貿易の勉強をしていたとか、そういったキャリアや知識の習得などは経営者としての資格があるかという部分に深く関わって参ります。

もちろん、全くそういった過去の実績がなくとも取得することは可能です。しかし、過去年十年も同様のビジネスに関わってきた人のほうが審査はスムーズに進む可能性が高いのです。

 

この「実績」ですが、自身が経営者として事業を営んできたという実績に関わらず、過去に「貿易会社」で〇〇の担当をしてきたとか、個人で「ECサイト」運営していたとか、そういった経営者としての実績以外も実績となります。今後日本で同様のビジネスを展開していくうえでゼロから始める人よりも知見があるほうが入管の審査云々を抜きにしても有利になることは間違いありません。経営管理ビザを取得するには学歴がなくとも実績がある方は強みになるということです。

もちろん学歴があるのであればそれもアピールするに越したことはありません。大学でマーケティング勉強していたとか貿易勉強していたとか、申請人が日本で行う予定のビジネスと関連する学問での就学実績です。

 

②事業の概要

実際に展開する事業内容を図表を使ったりしながら分かりやすく説明するようにしましょう。2、3年後の事業展開などを想定することが可能ですので、すぐに開始しない事業であっても、今後展開予定の事業についても説明しておくことをお勧めします。

 

③サービス内容の説明

この内容は具体的に行う必要がありますのでしっかり考えておく必要があります。一般的な商品をざっと説明するのではなく、宝飾品を販売する場合なのであれば、どのような種類の真珠のどのようなアクセサリー(指輪なのか、ネックレスなのか等)につき、仕入れ単価や販売単価なども明記します。そして、できれば写真などで審査官がイメージできるよう詳細に説明していきましょう。

 

④取引先の説明

単に計画しているだけは、本当に実現可能なのかと、審査官に机上の空論だと思われる可能性があります。ですから、事業計画書作成する前後に、取引先と業務委託契約書などを締結しておくとよいでしょう。

貿易事業を展開する予定であれば、仕入先と販売先の両方との契約書を締結することを推奨します。

販売がWEBサイトなのであれば、モール型で販売するのか自社サイトで販売を行うのかに分かれると思いますが、モール型で販売する場合であればアカウント登録を行うなど、販売が行える状態だという証拠をなるべく多く入管に提出するようにしましょう。

 

⑤市場動向市場規模の分析

展開しようとしているサービスにはニーズやマーケットがあり、申請人が新規参入可能であるかどうか(マーケットシェアがあるかどうか)を説明する必要があります。

マーケットは見込み客の集合体であるため、お客様を獲得できる可能性の調査をすべきであり、ビジネスモデルの実現性を左右する重要なプロセスと言えるでしょう。

利益が上がらず事業の継続性が認められないと思われないよう、成長性や将来性があり、マーケット規模の拡大によって売上げを伸ばせる可能性が十分にあることを説明しましょう。

 

⑥自社の強み

申請人のキャリアにも関わってくる部分ですが、自社の強みをアピールする必要があります。マーケットの中では、顧客との関係は常に他社との比較の中にしかありません。だからと言って事業規模が小さく特別な強みがないと思わなくて大丈夫です。他社と比較すると経営者の経歴や実績、アフターケアまでサポートできる体制が整っているなど、何かしら良い所は必ずあるはずです。価格や販売戦略など、項目に分けて強みをアピールするのもよいでしょう。

 

⑦収支シミュレーション

役員報酬の設定には注意が必要です。あまりに低い報酬を設定すると次回の更新ができなくなる可能性もあります。固定費はかかりすぎていないか、売上の想定は適正か等々数値を入れ込んでキャッシュフローを確認していきましょう。

 

具体的に事業計画書に記載する最低限7つの事項についても、どうやって書いたらよいのか分からないという方も多いと思います。貿易、コンサル、不動産経営、旅行業など、分野によっても書き方が異なっておりますので、経営管理ビザの申請に精通した行政書士に依頼するのが賢明かもしれません。

 

当コラソン行政書士事務所でもお客様のビジネスモデルをヒアリングして事業計画書作成をサポートさせて頂いておりますので、日本でのビジネス展開をお考えの方はお気軽にお問合せください。

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